ヘア&フェイシャルサロン「Re+」代表
美容師歴22年。東京都板橋区で髪質&肌質改善を専門とするヘア&フェイシャルサロン「Re+(リプラス)」を運営しています。
あなたは、どのようなシャンプーのことを「安全性の高いシャンプー」だと思っているでしょうか?
無添加であること?それとも、ノンシリコンであることでしょうか。
本当に大切なのは、配合された成分が自分の髪と頭皮に合っていることです。
この記事では、あなたが自分に合うシャンプーを選びたいと思ったとき、新たなモノサシとなる内容をお届けします。
まず、シャンプーでよくある4つの誤解についてご紹介します。ここでシャンプーに関する、間違った思い込みをなくしておきましょう。
たとえば「合わないシャンプーですぐに頭皮や肌がかゆくなる」というアレルギー体質の人にとっては、シャンプーに配合された成分数の多さがリスクを上げます。
数え切れないほどの、いろんな成分が入ったオーガニック系シャンプーは、アレルギー体質の人にとって「安全」ではないことも。
また、実際には天然成分でアレルギー反応を起こす人、化学物質でアレルギー反応を起こす人のどちらもいます。
つまり、本質的なリスクはケミカル・天然といった違いよりも合わない成分が配合されていないか?という部分なんです。
したがって「オーガニック」は、シャンプーの良し悪しを測る基準ではなく、魅力的なキャッチコピーなのだと認識を改めましょう。
シリコンオイル(シリコーン)そのものには、なんの毒性もありません。
ただし、ウォータープルーフ製品に配合されるタイプの、シリコンオイルが多いヘアケア製品は、過剰なコーティング作用によってトラブルの原因になることがあります。
例えるなら、シャンプーは料理と一緒です。
美味しければ良い(=髪の状態が良くなれば良い)という観点では、ヘアケア製品からシリコンを完全に排除すると、むしろデメリットが多くなるので、「悪いこと」かもしれません。
ノンシリコン製品でも、髪のすべり性を良くする皮膜剤(ポリマー)は入っていて、それが過剰なシリコンと同じ悪さをすることもあります。
ノンシリコン製品を使い続けて、髪の状態が良くならなかった人は、基準の見直しが有効かもしれませんね。
アミノ酸系成分100%のシャンプーが「正解シャンプー」と思い込んでいる人もたくさんいると思います。
実際にアミノ酸系100%のシャンプーを続けて使うと、泡立ちや洗浄力の物足りなさを感じる人が多いです。
実際、アミノ酸系100%にこだわるよりも、「洗浄力が高い」と言われる成分(オレフィン酸系やラウレス硫酸ナトリウムなど)をほんの少しブレンドしたほうが、スッキリと洗い上がります。
つまり、アミノ酸系100%に固執しないほうが、髪と頭皮を洗う洗浄剤としてのバランスや、使用感は格段に良くなるんです。
髪や地肌にトラブルを起こさずに、洗浄力のバランスが良くなるのであれば、石油系成分が入っても構いません。
よく「ラウリル硫酸ナトリウム」と「ラウレス硫酸ナトリウム」を混同する人がいますが、成分特性に違いがあります。
器用なバランスのシャンプーには「ラウレス硫酸ナトリウム」の方を選んで使われている事が多いので、チェックしてみてほしいです。
つまり「この成分が入っているから悪いシャンプーだ」と一概に決めつける論調は、安直に理解しやすいけれど、シャンプー選びに必要な知識が足りていません。
料理で言うところの、「うま味調味料」の存在を全否定するようなものなので、簡潔化された論調に惑わされないようにしましょう。
シャンプーを選ぶときに「匂いで決める」という人が、大半ではないでしょうか。
特に髪や頭皮の悩みがない人は、この基準で選んでも、特に問題ありません。
なんらかの改善したい悩みがある人は、選び方を見直したほうが、もっと満足の行く製品に出会えるかもしれません。
自分の悩みにあったシャンプー&トリートメントを選ぶときに必要な順番は、以下の通りです。
まるでふりがなのように細かい字で書かれた、ボトル裏面の「成分」欄を、読まずに選ぶ人が大半でしょう。
でも、加工食品を買うときに裏を見て、原料や添加物をチェックするのと同じように、何が入っているのかを確かめることもやはり大切です。
それが自分にとっての「安全なシャンプー」を見つける近道になります。
たとえば、シャンプーにおいていちばん重要な「洗浄成分」に絞り込んで見れば、わりと似たりよったりの成分が使われていて、想像しているほど成分の多様性はありません。
ある程度まで、洗浄成分の組み合わせパターンを理解してしまえば、自分の悩みに合ったシャンプーが格段に選びやすくなります。
たとえば「〇〇エキス」といった植物抽出エキスは、主に頭皮に対して有用な働きをしてくれます。
髪に良い成分だと、タンパク質由来の成分や、髪の毛と相性の良いオイル成分などが当てはまります。
市販の1,000円台で買えるシャンプートリートメントの成分を見ると、この「髪と頭皮に良い成分」が、サロン品と比べて圧倒的に少ないです。
つまり、この「髪と頭皮に良い成分」でプラスアルファのコストがかかるのだと、なんとなくの予測がつきますよね。
自分の頭皮タイプ(脂性・乾燥・敏感など)と、髪質(健康毛・ダメージ毛・エイジングなど)に対する、洗浄力の相性も大切です。
市販シャンプーの洗浄力は、サロン品と比較すると、おしなべて「高い」傾向にあります。
市販シャンプーの洗浄力が「100」だとすると、サロン品の洗浄力は「30」ほど。具体的にどのくらいの違いがあるかというと、以下のような感じです。
サロン品のシャンプーを使うときは、まず1プッシュ分だけつけてみて、泡立ちが悪ければさっと洗い流してから2回目のシャンプーをすると、問題なく洗えます。
そして「ダメージケア」の観点では、洗浄力が高いほど、髪には洗浄ダメージが入るので、必要以上の洗浄力を与えないほうが、髪のダメージを抑えやすいです。
とりわけ、ヘアカラーの色落ちが早く感じる人は、もう少し洗浄力が低めのシャンプーに変えるだけで、格段に色持ちが良くなるケースもあります。
上記2つの特徴は、シャンプーの品質ではなく「売れ行きの良さ」を決める要素です。
とはいえ、品質が良くても「匂いがイマイチなシャンプー」だと、愛用者が少なくなってしまうのは間違いありません。
でも、シャンプー作りにおいては「ボトル」と「香料の開発」でコストがかさみます。
実際どのぐらいコストがかかっているかというと、香水瓶のような、凝ったボトルデザインのシャンプーを買うときは、主にボトル代を払っているんだと思ってもいいほど。
また、香料成分は複雑な化学式で表される合成物質なので、頭皮や肌のトラブルを起こす原因物質になりやすいことも忘れてはいけません。
無香料のシャンプーは、原料臭が残るので「臭い」と言われやすいです。ただし、化学成分に対して敏感な肌質の人は、香料の「リスク」にも目を向けるようにしてみましょう。
偏った思い込みをなくし、自分の悩みや目的に対して合理的な選び方をすると、「買ってよかった」と思えるシャンプーに出会いやすくなります。
実際には、シャンプー&トリートメントを「匂いの良さ」で選ぶ人が圧倒的に多いです。
悩みのある人は、匂いよりも優先すべき3つの条件をクリアした後で、好みの香りかどうかを確かめてから選ぶ、という順番へ変えてみてはいかがでしょうか。
参考になれば幸いです。